ヤシガニ体験記

ナオミ・キャンベル(缶)

2006年03月22日 12:50


この夏、生まれて初めてヤシガニを頂く機会がありました。沖縄各地に生息するヤシガニですが、那覇生まれ那覇育ちの私にとっては未知なる生物!ヤシガニ料理で有名な島の某居酒屋さん。その店先に置かれているポリ容器の中でゴソゴソと動く哀愁漂うヤシガニの姿を見ただけで、注文して食べる勇気はなかなか出ませんでした。だって、どう見たって「オオヤドカリ科」なんです。カニじゃないんです。(これって、おいしいのかぁ???)_注意_心の声です。
そんな私に、与那国島でお世話になっているネーネーから「内地の高校に行っている娘が島に帰ってきたから、今日はヤシガニ炊くよ〜!」とのお誘いが!嬉しいような、怖いような、ちょっぴり複雑な心境(^^;)
夕方、パパ(夫)と息子と一緒にネーネー宅へお邪魔すると、ちょっと張り切りすぎちゃったか一番乗りだったさ〜!ははは!(汗)その後、ぞくぞくと人がやってきて、ちょっとホっ!(笑)しばらくして、ネーネーに呼ばれてキッチンへ行くと...大皿にデデーン!と真っ赤に茹でたヤシガニが盛られていました!1.5キロはある巨大ヤシガニが二匹!大きな体に立派なハサミ!聞くと、今日の為に特別に採ってもらったとの事でした。ヤシガニのハサミはとても丈夫で、アダンの実だってバッサリ切り落としちゃうぐらいだそうですから、きっと捕獲するほうもされるほうも大変だった事でしょう。与那国島の人も、立派なヤシガニだとビックリしていました!(捕獲される時のヤシガニの勇姿もちょっと見たかったなぁ〜。)なんて思いつつ、いよいよ生まれて初めてヤシガニを食する瞬間がやってきたのでした!!!




さて、いよいよ私がヤシガニを食べる瞬間がやってきました。まずは茹でヤシガニ!ヤシガニのむき身はカニミソを付けて食べるのが最も美味しい食べ方だそうです。茹でられたヤシガニのそばには、器に入ったベージュ色のカニミソがありました。よく見るとカニミソの上には金色の脂が浮いていて、濃厚さが伺えます。早速、殻を割って食べようとしたのですが...ところが、この殻が硬いなんのって!悪戦苦闘している私を見かねて、ネーネーが肉たたきで豪快に割って身を取り出してくれました(^^;)やれやれ。そして、ミソをつけて身を口の中へ。弾力のあるたくましい食感の身と濃厚で自然な甘さのあるカニミソがとてもマッチしていました!特に、カニミソの美味しい事!今まで食べたカニミソとは全く違う味で、ウニや白子に近いクリーミで濃厚な味。でも、飲み込んだ後に残る香りはやっぱりカニミソ。仕上げはヤシガニのお出汁たっぷりの「すば(沖縄そば)」でした。こちらもカニミソたっぷり入っていて味クーター!どちらも忘れられない味になってしまいました。
さて、今回ヤシガニが主人公になってしまいましたが、この宴の本当の主人公であるネーネーの娘さんも久しぶりのヤシガニ料理とあってとても嬉しそう!それを見るネーネーもなんだか嬉しそう!与那国の人にとってヤシガニは「貴重な」ごちそうであり、「故郷の味」であり、そして「母の味」でもあるんですね。本当に貴重な体験をさせて頂きました!感謝です。
最後になりましたが、ヤシガニは現在、絶滅危惧種になっており、捕獲を控える様になっています。与那国でも捕獲の際は小さいヤシガニは逃がす、無用な捕獲はしない等、島の宝として大切にしています。
私自身も島以外で、ヤシガニを食べようと思う事はきっと無いと思います。この故郷の味がいつまでもこの島にあり続ける事を祈りたいと思います。
ナオミでした♪
(2005年夏携帯サイトコラムより)

追記
こちらは去年、携帯コンテンツで書かせていただいたコラムで、先方のご好意で転載させてもらっています。現在は終了したコンテンツなので、名前は伏せさせていただきますが、本当にありがとうございます!
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